おはようございます。中小企業診断士のけんけんです。
引き続き任天堂の決算分析が続きます。分析というより決算書で気づいた点を診断士試験にリンクさせながら書いております。
先日まで資金繰りネタをお送りしていました。少し資金繰りの観点を深掘りしていきましょう。
結論から言えば直近の決算で現預金が8,904億円あるので全く問題ありませんが。
正常運転資金の観点から見ていきます。
正常運転資金は商売を継続していく上で必ず必要になる資金でした。実際に決算書を例に見ていく事にしましょう。
正常運転資金=売上債権+棚卸資産ー支払債務です。
前期決算
正常運転資金 1,539億円
(売上債権781億円+棚卸資産1,354億円ー支払債務596億円)
今期決算
正常運転資金 1,239億円
(売上債権1,330億円+棚卸資産889億円ー支払債務980億円)
2020年3月期 任天堂㈱の決算は絶好調で売上増加しました。
売上 1兆3085億円(対前期比 +1,079億円)
普通は売上が増加したら、経常運転資金は増える傾向にあります。
売上増加により売掛金や商品在庫も当然増える訳ですから。
しかし、
売上増加に関わらず、運転継続に必要な正常運転資金は減少しています。
要因は売上債権が増加しているも、それ以上に棚卸資産の減少、支払債務が増加しているからです。
資産が増えればキャッシュアウト、資産が減ればキャッシュイン
(物を買えばお金は出ていく。物を売ればお金をもらえるイメージです)
負債が増えればキャッシュイン、負債が減ればキャッシュアウト
(借入すればお金はもらえないですが入ってくる。借金が減る=現金で返済するイメージです)
棚卸資産の減少はNintendoSwitchが爆発的に売れたからでしょうね。支払債務が上がった要因は決算書だけでは正直分からないです。
売上増加を果たしながら正常運転資金は減少しています。
そりゃ現預金が増えるわけですよ。
もう一つ気になった数値が配当性向です。
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益(税引後の利益)×100です。
要は儲かった利益の中からどれくらい配当を出すの?という指標です。
任天堂の連結での配当性向
2020年3月期 50.2%
このデータから次の事が分かりました。
任天堂は儲けの半分を株主に還元しています!!
任天堂は無借金経営でした。本来であれば儲けを内部留保としてストックした方が良いはずですが。
上場企業の配当性向の平均は20%~30%くらいと言われていますので、これは驚異的な数字だと思います。
年間配当額の推移を調べてみました。
2016年3月期 1株あたり150円
2017年3月期 1株あたり430円
2018年3月期 1株あたり590円
2019年3月期 1株あたり810円
2020年3月期 1株あたり1,090円
まさにウナギ昇りですね。
5年で7.2倍になっています。
儲けを独り占めせずに株主に還元しますよ!!という姿勢が見られます。
「儲けは全部俺のもの」みたいなジャイアン理論では株主から見放されて終わりになってしまいます😅
ただ来年は新型コロナウイルスの影響から減配を予想されていますが、このウナギ昇りの後ですからしょうがないと思います。私は株主では無いので好き勝手言っていますが。
今日はここまでにします。
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