おはようございます。中小企業診断士のけんけんです。
平成25年事例3を題材に書いています。今日は第3問の解説をしていきます。
第3問(配点30点)
C社経営者は、これまで蓄積した生産技術のノウハウを活用し、通信用部材市場以外での新規事業開発を模索している。過去に経験したY社との共同開発事業の失敗の要因とその失敗の要因を踏まえた今後の新規事業開発の留意点を140字以内で述べよ。
まずは配点30点です。大きいですね。
この問題で失敗したら30点飛んでいってしまいます。失敗は許されません。
この設問で聞かれている事は何でしょうか?
「過去に経験したY社との共同開発事業の失敗の要因」
「今後の新規事業開発の留意点」
の2つです。
140字の字数の中で聞かれている2つの事を答えなければなりません。
あと設問文で見逃してならない点があります。
「その失敗の要因を踏まえた」とあります。
「失敗の要因」を踏まえて「今後の新規事業開発の留意点」を書けと言っています。
「失敗の要因」を分析させて、それを繰り返させない!!
今後の新規事業開発には「失敗を要因」への対策が織り込まれないとダメという事になります。
また「C社経営者は、これまで蓄積した生産技術のノウハウを活用し」と設問文にあります。これはC社社長の方針です。
これまで蓄積した生産技術のノウハウを活用とありますので、単純に言うと強みを活用する視点になります。
以前にもブログで書きましたが、事例3で聞かれる論点はこの3つが多いです。
①環境分析
②C社のオペレーションレベルの改善
③C社の成長戦略
この問題は③C社の成長戦略に対する助言問題になります。
助言問題のセオリーとしてはS×Oです。強みと機会をマッチングさせる事です。
そしてアンゾフの成長ベクトルを意識して製品面と市場面の両面からアプローチする事です。
助言の問題のアプローチとしては
第1問設問1で強みが問われています。
私であれば第1問設問1と第3問を連動させて考えます。
第1問設問1で何で「強み」を分析させているのでしょうか?
それは第3問で「強み」を活用させるためだと思います。
これを意識していない人は、設問で聞いている
「過去に経験したY社との共同開発事業の失敗の要因」
「今後の新規事業開発の留意点」については与件から根拠を集めて解答できると思います。ただ強み×機会の論点は多分解答に盛り込めないような気がします。
この設問の解説としては、失敗の直接の原因は「シンプルな機能で軽量化された低価格製品」と競合して勝てなかった事です。
なんで「シンプルな機能で軽量化された低価格製品」に負けたのでしょうか?
市場のニーズを捉えていなかったからではないでしょうか?
アンゾフの成長ベクトルで整理します。
製品面では製品・施行品質が高い。ただし市場面ではシンプルな機能で軽量化された低価格品ニーズが強く製品・施行品質の高さを訴求できない市場へ進出したためでしょう。
なぜそんな市場へ進出したのでしょうか?
C社で市場ニーズを調査していましたか?大手建材メーカーのY社のいいなりになっていませんか?C社は直接顧客と接しているわけではないので、大手建材メーカーからの提案を鵜呑みにしてしまったのでは・・・。
第1段落で営業部が存在していない事をチェックした方はいらっしゃいますか?
私は第1段落のC社の事業部は必ずチェックしていました。
特に営業部があるか?ないか?これは重要だと思います。
営業部が無い場合は、助言問題で市場面(営業面)を強化する視点が必要になる可能性が高いからです。
それに第2段落、第3段落に着目すると
「通信建設会社が試行を請負う」「通信建設会社から受注する」
「通信建設会社の指導を受け」「通信建設会社の勧めで」
「通信建設会社」めちゃ多く無いですか?「指導を受け」「勧めで」という言葉を見るとC社自らでは何もやっていないですね。これもわざわざ表現であると私は認識しました。
後は強み×機会の視点です。
第4、5段落を意識出来たかが重要です。
第4段落で強みが書いてあります。強みは「新製品開発力・提案力、製品・施行品質」です。
第5段落に機会が書いてあります。
「高速化、ダウンサイジング化が進む通信機器に対応した新製品の提案が求められ」
「通信事業者や通信建設会社へ提案し、新規取引先を獲得する営業展開を進めてきており、今後も強化する方針である」とC社の今後の方針もあります。
実は市場のニーズをC社分かっているじゃないですか!!
第5問を「失敗の要因」と「今後の新規事業開発の留意点」を書くだけの問題だと認識していたら強み×機会の視点が漏れてしまいます。たぶん・・・。
今日はここまでにします。
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